中谷光夫
2006年6月市議会一般質問
廃プラ、ごみ委託問題についてです
1.悪臭問題、健康被害について
リサイクル・アンド・イコール社の建設と操業について、一昨年からいわゆる「杉並病」を心配して、周辺住民が、廃プラスチックの熱処理や機械的処理による多種多様な化学物質の発生による健康影響への不安から、本来、環境保全が求められる市街化調整区域における開発許可、建築許可に異議を申し立て、現在は、4市組合施設と合わせ、大阪地裁に本訴して係争中です。
イコール社は、昨年4月から一部操業を始め、12月に日本容器包装リサイクル協会から再商品化事業者として選定され、今年度は、寝屋川市や門真市など12自治体からのプラスチック製容器包装分別基準適合物を受け入れ、全日24時間の本格操業をおこなっています。
その結果、昨年から住民が訴えていた悪臭被害、健康影響が、今年の4月以降、点滴、通院を含む深刻な被害に広がっています。
昨年11月に、周辺自治会がアンケート調査をおこないました。太秦第2ハイツ自治会の臭い調査の結果報告によると、(1)11月すべての日、臭いがした。(2)89件中、61件、3分の2が自宅で臭い。(3)強い臭いがした32件中、20件が自宅。(4)89件中、太秦東ヶ丘72件、太秦中町17件。施設に近い条件と合わせ、地形・風の影響も考えられる。(5)臭いは、廃プラ特有の吐き気をもよおすような臭い、プラスチックやナイロンを燃やす臭い、ゴミを焼く臭い、甘酸っぱい臭い、鼻を突く臭いなど。(6)夜間、早朝も臭っている。とのことです。
4月以降寄せられた声は、その比ではありません。4月18日夜には、市会議員や環境政策課職員も連絡を受け、強い臭いを確認したと聞いています。周辺住民は、市に繰り返し訴えをおこなっています。私も現地に赴き、被害状況を直接に聞きました。イコール社だけでなく、クリーンセンターなども原因者とする声もありました。いくつかを紹介します。
「太秦東ヶ丘では、全体調査をしているわけではないが、『守る会』の役員をしているためか、何とかしてほしいと近所の人から連絡がある。それだけで16人の人が切実に被害を訴えておられる。共通しているのは、のどが痛い、咳が出る、目が痛い、などの症状です。」と訴えられました。
太秦桜ヶ丘の人からは、孫の健康が心配で、幼稚園も遠くにした。5月に苦しい思いをしたという人からは、昼にご夫婦で散歩中、「臭うね」と話していたが、夜にのどが痛み出し、さらに目も痛み出し、失明するかと思うくらいひどい痛みだったと訴えられました。最後は、右の顔が膿を持って大きく腫れたと、怒りと悔しさをぶつけるように語られました。同席されていた女性からは、一様に「お金があれば、引っ越ししたい。」の声があがりました。
中には、昨年、イコール社を見学した後、家に帰って気分が悪くなり、寝込んでしまったという話も聞きました。
寝屋川をしばらく離れた時には、咳がおさまったり、ぜん息がましになることも伺いました。
太秦中町の30人近い人の症状の中には、足がつる、頭痛などの訴えもあります。50代の女性は、「悪臭がすると、耳鳴りがしたり、首の後ろから後頭部が痛い。去年の暮れからタンが切れない。夜、寝てるとき、臭いが入ると後頭部が痛くなる。」と言います。
「守る会」の役員に寄せられた次の手紙は、被害住民みんなの気持ちだと言います。
「私は昨年11月頃より眼の充血があり、外に出る時は眼鏡で防護しなくてはならないのです。
又、夫婦共府立の寝屋川公園の散歩が楽しみでしたのに、悪臭で気分が悪くなりますので、老後の唯一の楽しみもうばわれました。
又、孫達も夏休みには噴水と水あそびを楽しみにしていましたが、今年からは断念しなくてはなりませんね。」
こうした声を受けて、5月19日、日本共産党議員団として市長に「申し入れ」をおこないました。
(1)リサイクル・アンド・イコール社の本格操業にともなう、悪臭・異臭などの原因を明らかにし、当面異臭・悪臭の除去を早急にもとめるとともに、健康被害の訴えに対する根本的対策をおこなうよう、市として強く指導すること。
(2)リサイクル・アンド・イコール社の操業にともなう、発生する化学物質の詳細な調査を住民の意見を聞き、具体化すること。
(3)今回の問題について、市として周辺住民の意見を十分に聞くとともに、説明責任を果たすこと。
の三点ですが、どう取り組まれてきたのか、現状と今後の方針について、具体的にお答え下さい。
また、6月12日には、「廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会」が、1651筆の署名を持って、市長に対し、「株式会社リサイクル・アンド・イコールの工場の操業に伴って発生している悪臭は、受忍限度を超えた酷い悪臭であり、周辺住民への健康面に及ぼす影響は甚大なものであるので、直ちに操業を止めさすようにして下さい。」と、請願をおこなっています。請願に対する見解をお聞きします。
2.民間施設許可にあたっての経過、問題点
イコール社周辺住民に広がっている深刻な健康被害を考えるとき、廃プラスチックを再商品化する民間施設を許可した市長の責任は免れ得ないものです。04年(平成16年)7月23日に、牧隆三氏ほか8人の住民が寝屋川市開発審査会に提出した「釈明書に対する反論書」のまとめの部分は、市が許可した問題点をあらためてわかりやすく指摘しています。
(1)都市計画決定をおこなわず、市街化調整区域での開発・建築行為についてさだめた、都市計画法及び同法施行令の「提案基準 容器包装の選別施設等の建築を目的とする開発行為等の取り扱い」の(適用の範囲)「市町村から委託を受けて、容器包装の選別、圧縮、粉砕、保管等の処理を行う施設で、処理能力が1日5トン未満の施設とする」にたいし、1日処理能力102トン(操業は11時間48トン)の廃プラスチック施設を、自ら定めた基準にさえ大きく違反して許可したこと。
(2)市が「廃棄物処理施設の集中地域にするつもりはない」と弁明しているが、業者がそういう地域だからこそ廃棄物処理施設の開発、建築の申請をしたことを寝屋川市は容認し、事実は4市共同の圧縮こん包施設を含め廃棄物施設の集約地域にしつつあること。
(3)寝屋川市の街づくりの基本を決めた「寝屋川市都市計画に関する基本的な方針」のうち、「良好な住宅地の形成」「ローサイド型サービス施設や市民の生活をささえる小売店・サービス施設の形成を図り」「緑の保全を図った都市型産業地を形成」「貴重な農地の保全」のいずれにも反する事業で、釈明書が「都市計画上支障がない」と判断した理由は何の根拠も有しないことが明らかになったこと。
(4)大阪府エコエリア構想で位置づけられた事業としているが、同構想の参考資料「大阪エコエリア構想推進検討委員会における事業計画の評価事項」である
ア.事業の経済性・経営性
イ.環境への配慮
ウ.関係者等への説明
エ.情報公開及び施設の一般公開
のいずれにも反する、本来許可すべきでない事業であって、寝屋川市、大阪府が業者の要求を容認し、自ら決めたことさえ守らない行政姿勢であることが明白になったこと。
(5)弁明書で否認した「廃プラスチックを機械的、熱的に取り扱った場合に化学物質は発生しない」「杉並病の原因裁定」について、釈明書では180度、態度を翻し認める表現を行うという無責任さが明らかになったこと。
(6)化学物質による健康被害の危険性については、基準がなければ判断できない(から許可する)とか、低い危険性であるから安全データを示す必要はないと決めつけるなど、人の健康、安全という行政がもっとも責任を持つべき事について、きわめて無責任な態度を表明したこと。また、生活環境影響調査の問題は大阪府の問題などと、8万署名が示す市民の不安に真剣にこたえる態度が見られないこと。
(7)建築基準法第51条ただし書き規定の適用により、市民の権利である情報の公開、意見を述べる機会を奪い、行政の説明責任、住民との合意を行わなかったこと。
などをあげ、行政の長として、法令等の恣意的乱用であり法の精神はもとより自ら決めた「市街化調整区域での開発、建築の判断基準」、街づくりの基本方針、大阪府エコエリア構想の「事業の評価事項」さえ踏み破った許可であり、行政の恣意的壟断と断ぜざるを得ない。
生活環境を守る、健康・安全を守る、税のムダづかいを行わない、こうした市民の目線に立った姿勢へ英断をもって転換することを強く求めて反論書とする、としています。
長い引用ですが、ここで指摘されている点を、過去の問題にすることはできません。現在、住民が緊急に、「民間会社の操業停止を含む措置」を求めている根拠でもあり、充分に理解できるものです。
あらためて民間施設を許可した市長の責任を問うものです。見解をお聞きします。
3.形を変えた同和施策、特別扱いの問題について
寝屋川の廃プラスチックをめぐる異様、異常な一連の経過を見るとき、指摘せざるを得ないことは、この間、マスコミ報道でも厳しく批判されている大阪府、大阪市の不公正乱脈な同和行政に象徴される問題です。日本共産党は、一貫して不公正な同和行政の問題を追及してきました。
現在、寝屋川市の廃プラスチックの中間処理業務を随意契約で行っているのは、大阪東部リサイクル事業協同組合です。01年(H13年)7月3日以前は、寝屋川資源再生業組合と称し、「部落の完全解放を成す一環として、」組合員のために必要な共同事業を行い、経済的地位の向上を図ることを目的と謳っていました。事業の第1にあげられていた「組合員のためにする共同選別処理施設の維持管理」は、大幅に変更されました。それは、(組合員の資格)の変更を見ればよくわかります。旧定款では、「(1)再生資源卸売業を行う事業者であること。(2)組合の地区内に事業場を有すること。」が、新定款では、「(1)再生資源(鉄スクラップ、非鉄金属スクラップ、ペットボトル、廃プラスチック、特定家庭用機器廃棄物、アルミ缶、スチール缶及びガラスびん)を再生利用するため、収集、運搬、選別加工を行う事業者であること。(2)組合の地区内に事業場を有すること。」となっています。第1条(目的)の「部落の完全解放を成す一環として、」の文言が削除されたのは、02年(H14年)12月の大阪東部リサイクル事業協同組合の臨時総会です。
ちなみに、私は、昨年の決算委員会、12月議会の一般質問で、廃プラスチック中間処理業務委託の仕様書と市の土地使用許可書の内容の矛盾を指摘し、特別扱いをやめるよう求めました。当時の環境部長は、「今後、競争原理が働く対応をして」いくと答えましたが、今年度も随意契約になりました。理由を明らかにしてください。また、業務委託料の中に本来含まれているはずの光熱水費、土地代を取らないと言うのは、特別扱いそのものではありませんか。見直さない理由は何ですか。また、債務負担行為として、大阪東部リサイクル事業協同組合にこれまで約7,900万円、今年度も約1,400万円という多額の金銭を支払いながら、施設使用料を市が支払う関係を納得いくように説明して下さい。また、現在、東部が業務を受託している事業、総額、クリーンセンターが業務委託している中に占める割合をお聞きします。
さて、イコール社についてですが、大阪東部リサイクル事業協同組合が出資していることは、ご承知のとおりです。今年3月、株式会社ワールド・ロジがリサイクル・アンド・イコールを、75.3%の株式を取得し、今年の3月に連結子会社にしました。ホームページによると、「リサイクル・アンド・イコールについては、平成16年8月に株式を売却したが、対象会社の事業的な方向性がワールド・ロジの考えるリサイクル事業と合致してきたため、今回の株式取得となった。」としています。既存の株主から取得した20,005株は、22,505株(51.1%)を所有していたアルパレット社からです。しかも、ワールド・ロジの代表取締役は、寝屋川市の元幹部職員の寝屋川市人権協会幹部の親族です。こうした事実を知った市民から、現クリーンセンターの廃プラスチック中間処理事業、4市組合廃プラ施設、民間の廃プラ再商品化施設の一連の特別扱いの疑問を解く鍵があるとの意見が寄せられています。
この間、大阪府と寝屋川市がとってきた態度は、まさに形を変えた特別対策ではありませんか。見解をお聞きします。
4.廃プラのマテリアルリサイクル(イコール社がおこなっている材料リサイクルの事ですが)優先の見直しについて
寝屋川の廃プラ問題を考えるとき、「月刊廃棄物 2004−4」の明治学院大学の熊本一規教授の寄稿論文「プラスチック容器のマテリアルリサイクル優先は見直すべきである」は、今も私たちに重要な示唆を与えてくれています。4つの小見出しがあります。「適正処理の困難なプラスチック」「リサイクル貧乏をもたらす容器包装リサイクル」「マテリアルリサイクル優先の現行法」に続く、最後の「マテリアル優先でよいのか」が指摘する問題は、要旨次のとおりです。
第1は、プラスチックは、太陽光線により、時間とともに質的な劣化が進む。低品質の再生プラスチック製品は、プランターや杭など塊状のものでしかない。日光で表面が劣化しても、塊状であれば耐えられるからである。
第2は、特定の用途に適した、重合度分布の再生プラスチックができない。重合度分布が同じポリエチレンだけを集めて再生すればともかく、重合度分布の異なるポリエチレンをいっしょに混ぜて再生しても、特定の用途に適した重合度分布の再生ポリエチレンができることはない。(他のプラスチックも同様)
第3は、添加物の点からも、特定の用途に適した再生プラスチックができない。時間とともに、添加物は揮発・溶出などによりプラスチックから失われていき、再生プラスチックをつくる際、新たに添加物を加えたりしない。添加物が同じプラスチックだけを集めて再生すればともかく、添加物が異なり、しかも新製品の時より少量しか含まない、種々のプラスチックを混ぜて再生しても、特定の用途に適した再生プラスチックができることはない。
第4は、プラスチックのマテリアルリサイクルは、いたるところで環境汚染をもたらすことである。リサイクルには、閉鎖型リサイクルと拡散型リサイクルがある。閉鎖型リサイクルは、電池から重金属を回収するように、対象物質を、「生産−消費−リサイクル−生産−」のサイクルの中に閉じ込めるようなリサイクルである。この場合、有害物質は、環の中に閉じ込められるから、環境汚染をもたらす恐れはない。拡散型リサイクルは、再生商品が消費された後、廃棄物処分場に運ばれるようなリサイクルであり、消費過程、あるいは処分場に廃棄された後、環境汚染につながる恐れがある。プラスチックのマテリアルリサイクルは拡散型リサイクルであり、添加物が揮発・溶出することなどを通じて、全国いたるところで環境汚染をもたらす恐れがある。第3の問題点を緩和しようと、再生プラスチックに添加物を加えれば、第4の問題点はそれだけ大きくなる。
要するに、特定の用途に適することのない、質的に劣化した再生プラスチックができるうえ、それが使用されると環境汚染をもたらすのである。しかも、ケミカルリサイクル(ガス化、油化、高炉還元剤、コークス炉化学原料化などがそうです。)よりもはるかに高い。したがって、現行法のマテリアル優先は、低質の再生製品をつくったうえ、環境汚染をもたらすことを、わざわざ高いコストをかけて行っていることになる。
ケミカルリサイクルは、環境汚染が発生する場所がリサイクルを行う場所に限られる。そのため、再生プラスチックがどこで使用されるかわからないマテリアルリサイクルに比べて、対策がはるかに容易である。
マテリアルリサイクル優先という原則は、長年、リサイクルに取り組む者の間でスローガンとして唱えられてきた。循環型社会形成推進基本法に盛り込まれたのも、当時の認識からすれば、妥当なことであった。しかし、実践を通じて問題点が明らかになってくれば、以前の原則に固執することは誤りであり、柔軟に修正を加える必要がある。プラスチック容器のマテリアルリサイクル優先の原則は見直されるべきである。
まさに寝屋川市のために書かれたような感があります。明確な見解をお聞きします。
教育問題について
1.教育基本法改悪について
6月18日に閉会した通常国会は、後半になって憲法に関わる重要法案をあいついで提出される異常なものでした。とりわけ、日本国憲法の理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものとして定められた教育基本法の全面改定案が提出され、衆院の特別委員会で継続審議とされたことは、極めて重大なことです。政府・文科省と与党の自民・公明は、3年かけて70回の協議を尽くしてきたと言いますが、国民的議論もない、まったくの非公開で行われてきたものです。改定案は、前文の「(憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」を削除し、「真理と平和を希求する」を「真理と正義を希求し」と書き換えました。日本共産党は、9条を中心とする憲法改定と一体に、「海外で戦争をする国」、「弱肉強食の経済社会」−−の二つの国策に従う人間づくりをめざすものとして、教育基本法改定は絶対に許されないと考えるものです。時間の制約もあり、2点にしぼって質問します。
(愛国心について)
マスコミもとりあげた「愛国心通知表」について関連して質問します。
政府の改定案の重大な問題点は、第2条「教育の目標」をつくり、法律にない、文科省の告示行為でおこなっている学習指導要領の「国を愛する態度」など20に及ぶ「徳目」を列挙し、その「目標の達成」を国民全体に義務づけていることです。第6条「学校教育」から「全体の奉仕者」を削り、「教育の目標」達成を義務づけたことと合わせ、憲法19条が保障した思想・良心・内心の自由を侵害するおそれをきびしく指摘するものです。国会では、福岡市の「愛国心通知表」をとりあげ、教育現場や保護者の声を紹介し、「間違い」を追及しました。小泉首相は、手にとって読み上げ、「率直に言って評価するのは難しい」、「こういう項目は持たなくて良いのではないか」と答えました。2日後には、小坂文科相は、「ABCをつけるなんてとんでもない」と答えました。その後、全国各地で愛国心通知表の見直しが急速に進んでいます。幸い、寝屋川の小学校には、愛国心通知表はありません。しかし、「日の丸・君が代」の扱いを見るとき、愛国心通知表につながる、教育行政による「内心の自由を侵害する強制」がないと言えるでしょうか。私は、繰り返し、卒業式などでの「君が代」の声の大きさまで教育委員会の指導事項とする「間違い」の異常さを指摘してきました。1999年、「国旗・国歌法案」の政府答弁で、当時の野中官房長官は、学校現場の取り扱いについても、「人それぞれの考え方がある」として、「式典等において、起立する自由もあれば起立しない自由もあるし、斉唱する自由もあれば斉唱しない自由もある」と明言しました。学校という場所は、こども達から見て「不合理」なこと、「問答無用」なことが、本来は、一つでもあってはならない場所です。一つでもあれば、こども達は敏感にそれを感じとり、信頼が損なわれかねません。
この機会に、卒業式等において、「内心の自由を侵害している」教育行政姿勢をあらためるべきではありませんか。見解をお聞きします。
(教育行政について)
次に10条(教育行政)の改定に関連して質問します。
「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」。この条文は、戦前の教育が、国家権力の完全な支配・統制のもとにおかれ、やがて軍国主義一色に染め上げられていった、痛苦の反省に立って明記されました。
今回の改定案は、教育内容に対する国家的介入を抑制し、教育の自主性、自律性、自由を保障する、教育基本法全体の「命」とも言える10条をずたずたに改変し、国家権力が教育内容と方法に、無制限に介入できるものとなっています。
私は、現行の「人格の完成」をめざす(教育の目的)達成と、10条の2「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」努力を求めて、国際的に真の教育改革として注目されているフィンランドから学ぶべき点を紹介します。
第1は、競争主義を一掃したことです。9年間の義務教育の中で、他人と比較するためのテストはありません。学習とは、自ら知識を求め、探求していくことだとして、それを助けることが教育とされています。習熟度別学級編成は、1985年に完全に廃止され、代わって多様な学力のこども達が同じグループで助け合いながら学び合う教育改革がおこなわれました。どの子にもわかるまで教える教育、競争ではなくて助け合う教育−−この当たり前のことが、高い学力をつくりだしたと言います。
第2は、学校と教師の自由と自律性を尊重していることです。国の教科書検定は1992年に廃止され、教科書は学校と教師が自主的に選ぶことができます。教師は教育の専門家として尊重され、行政の活動は、教師の管理ではなく、教師が発達することの支援とされています。自由な空間の中でこそ教育は輝くということをフィンランドの教育改革は教えています。
第3は、教育条件整備の責任を、行政がしっかりと果たしていることです。フィンランドでは、少人数学級が進み、約20人程度が標準になっていると言います。義務教育はもとより、高等学校、職業専門学校、大学まで、すべて無償とされ、教育の機会均等が保障されています。
フィンランドは、教育改革を様々な国から学ぶ中で、日本の教育基本法を参考にしたと言います。安定した見通しを持って教育にあたれる9年間の義務教育制度、一人ひとりの人間としての成長を願う「人格の完成」を目標としていることなどです。
いま求められているのは、子どもの権利条約など人類共通の原理とも重なり合う教育基本法を破棄することではありません。教育基本法を生かした教育改革です。
この間、寝屋川市が進めてきた教育行政は、全国に例をみない学校統廃合であり、その理由にされたのは小中一貫教育、開発研究特区指定を受けた小学校からの英語教育でした。競争をあおる学校選択制、ドリームプラン、企業に丸投げの学力テスト、教職員評価育成システム、できる子、できない子を差別選別する習熟度別学習など、憲法と教育基本法に反する国の政策方向そのものではなかったでしょうか。寝屋川市でも、教育現場からは、かつてない教育困難の声を聞くことが増えました。寝屋川市としても、教育の基本が問われているこの際、フィンランドの教育に学び、見直すことが必要ではないでしょうか。教職員増と少人数学級、教育困難校への支援、教育条件整備こそ急務だと考えます。
見解をお聞きします。
以上で、私の質問を終わります。